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半年の間
”この人と、一度も飲みに行かなかったら一生後悔するだろうな” と思うほど、気になる男の子がいた。 お仕事では毎日のように関わっている人だけど、 プライベートの会話をする事は滅多にない。 既婚なのか未婚なのか(←後日未婚である事は確認済。恋人の有無は謎) 年齢すら知らない人。 気さくで話しやすく、賢く、仕事ではいつでも柔軟に対応して くれるから、周りの評判はめっぽうよいけれど、 ほとんどの人は彼と付き合いがなく、その正体は謎に包まれたまま。 パッと見、イケメン風とは程遠い、地味な風貌だが 服装のディテールや会話の中に、もしかしたらオシャレさんなのかな? と思わせるような、小出しにセンスのよさを感じる、そんな人だった。 ”恋”と言ってしまったらちょっと違うけれど、 私の中で、彼への興味は膨らむ一方。 気付いたら半年。その思いはパンパンになっていた。 その間には、バレンタインや連休やらのイベントがあったので ちょっとした贈り物やお土産など渡したり、お返しもらったり、 そんなこんなで個人メールのやりとりは少々あった。 普段、敬語を使う彼だけど、メールの文面はベタベタの大阪弁で、 ちょっぴり気の利いた面白いコメントを書く。 それが、いつもより近付けた気がして、嬉しく思えた。 でも、私たちのコミュニケーションは半年もかけて、これが精一杯。 もやもやした気持ちは苦手ですぐ解決したくなる、せっかちな私なのに 不思議だな。 、、、彼は私にとって、なんだか尊くて。 それゆえ、大切にとっておきたい宝物のように、 触れたらすぐ割れちゃうようなガラスのように、 私は、静かにその思いをくるんで心に仕舞っておいた。 いつか訪れるチャンスのために。 チャンスは自然にやってきた。 というより”まんをじして” 誰かがそっと私の背中を押してくれたのかもしれない。 しんどい決算が終わり、仕事は一段落。珍しく暇だった、ある日中。 私は、GWに行く京都旅行への計画に余念がなかった。 中でも喫茶店探し、京都にはそこらじゅうに居心地のよい喫茶店があると聞くし、行ってみたかった。 ふと、彼が ”学生時代〜最初の職場まで数年間京都だったんですよ”と言っていたのを思い出した。 なにせ年齢がわからないので、それ自体が最近の事なのか、遥か昔の事なのかは 知らんが。 気付いたら私は当たり前のように、彼にメールを入れていた。 ”京都の喫茶店を教えてくれないかな” いつも親切な彼だから、なんらかの情報はくれるだろう、と期待しての依頼だったが、 思った以上にたくさんの情報が返ってきたので嬉しかった。 そして文章の中に ”学生時代はいつも呑んだくれてたから、店はさほど詳しくないでー” とあった。 その ”呑”のワードに反応し、私の半年間の”呑みたい思いのバルーン”が、 ついに”パン!”と音を立てて、割れた。 ”お酒が呑める人なのね。では今度行かなくてはね!東京なら御案内しますよ” 返事がきた。 ”おうGW明けにでも行こうや。是非御案内願います!” この瞬間の嬉しさを私は、決して忘れないだろう。 別に ”彼ゲット!いっちょあがり!” てわけじゃあないのに、社交辞令かもしれないのに、 なにをそんなに浮かれてるんだ。バカ。 だけど、私は浮かれた。 この静→動への変化に。 だって、、、半年かけてようやく、私は彼を呑みに誘ったのだ。 It's ”ENOUGH” for me! そんな感じだった。 だがすぐに2番目の困難が訪れた。 この話を、どう具体化するか、だ。 ここでいきなり大前提だが。 彼は少なからず、私には興味がない。 もちろん、”何歳なんだろう?””未婚?”等誰もが考える程度、 まあ運がよければ、プラスで ”可愛いコだな。話やすいし”レベルの興味はあるのかもしれないが(自信過剰?)。 嫌われてないのは確かだろうけど、積極的に好かれているわけじゃない事も ちゃんと自覚してる。 だってこの年まで生きてりゃ、自分に興味あろう男なんて目つきでわかるさ。 普通に誘ってくるしさ。 時折、雑誌などで ”今ドキの男の子は照れ屋で、自分からデートには誘えないから、 女から誘うもあり!”なんて記事に励まされたりするけれど いやはや。 やはりその辺は野生の勘で。彼が照れ屋ゆえ私を誘えないちゅーわけじゃない事ぐらいわかるさ。 どう考えても。そう。仮に、私のこの思いを ”恋”と表すのであれば 私は”100%片思い♪”(ハイスクールララバイ) 30超えて、片思いなんて。私という女は無益な事をどうしてまた、、、、。 もう開きなおらなきゃやってられないよ、ふん! と開き直ってはみても、やっぱり食い付く事はできない私。 ”じゃあ、いつにする?”なんて、すぐに言えなかったのだ。 連休が明け、梅雨が始まる前には声をかけなきゃと思いつつも、 なかなか自然にやってこないのがタイミングってヤツ。 このままでは、あの私の勇敢な誘いは、ただの社交辞令と化してしまう。 そして”それならそれで別にいいや”ときっと思ってるだろう彼が、 なんとなく悲しい。 いつだって片思いには、痛みと悲しみがツキモノだ。 いちいち凹むな!頑張れ私! 凹んでる暇あったら、お店の1件でも調べて、ちゃんと東京案内できるようにしとかなきゃ。 最初で最後のデートになるかもしれないんだから、、、、。喝を入れる。 バランスよく食べて、ダンスにプールに、積極的に美肌&ボディに磨きをかけ、 週末にゃ、女友達に頼みこんで、東京散歩に付き合ってもらう。 ぶっちゃけ、デートの下見というヤツだ。 ”お前は中学生男子か!”と、突っ込みながら、協力的にデートに効果的(?)な 散歩道を共に考えてくれた友達。 まんざらじゃない、時間が楽しかった。 よくよく考えると、ずいぶん長い間、こんなふうに週末を過ごしてないな、と思う。 付き合いの長い彼氏とは、今や遠距離だし、 そもそも、もはや新しい店探しもしなくなってしまっていたし。 友達と呑む時は、だいたい夜。居酒屋でわいわい、だし。 あとは、ダンスとかクラブとか買い物等、目的地へ一直線か、家でごろごろするか。 ”のんびり散歩しながら、尊い君と楽しいデートを想像する”なんて。 素直に幸せだなあ、と思った。 そして、ちゃんと誘ってみようと思った。 翌日メールを入れた。”そろそろ行きましょうか” そしていよいよデートの日がやってきた。 運よく都合がついたのは金曜日。神様がくれた金曜日。 元来あわてんぼうの私は、20台の頃、 好きな人に、少しでも多くの自分をいちどに伝えようとするあまり、 話し過ぎて、ムードぶちこわし。 しまいには相手をキャパオーバーに陥らせ、何度も失敗を繰り返した。 私の大好きなUAの唄 ”リズム”の歌詞には ”何を見て、何を愛して、何に傷付いてきたの? 青い薔薇の光灯して、語り合おう!夜明けまで ” というフレーズがあり、それはいつも恋する時の私の気持ちによく似ている。 そう。私は知りたいし知られたい。 ディープなコミュニケーションを欲する、人間臭いヤツなのだ。 それ自体は悪くないと思うのだが この”知りたい””知られたい”には、バランス感が大事なのも確か。 30年以上の人生を一度に語るのは、無理。 自分の事はのんびり伝えていけばいいじゃないか。 先ずは相手はどんなヤツか 見て、知って、感じて、そして彼の世界観に想像を巡らせる事ができるようになれば 自ずと次につなげられるんじゃないかな、、、 彼のお話に ”それで?それで?”って一歩突っ込んで耳を傾けてみよう! そんな風に頭ではわかっていた。 だけど、相手が私に興味ない以上、今日は最初で最後の日になるかもしれない。 その事が再び私を、不器用であわてんぼうな女に逆戻りさせてしまった。 自分の事を好きそうな男や、既婚者(どうにもならない相手)に対しては いつだって、余裕な態度ができるような私になっていたので、もう大丈夫!20台の失敗は繰り返すまい!と安心してたのに。 ”片思い”が裏目ったのだ。 彼の年齢は私より4つ下だった。想像以上にすごく面白い男の子だった。 地味だけどなんとなく趣味がよい、、、というイメージとは、 大幅には変わらなかったけれど、 実際には、更に垢抜けているタイプ。 ぬぼーっとして見えるが、 そこそこ行動的で、学生時代はDJやったり、実はボードにハマってたり、 ちょっぴり遊び慣れている感もあり、 女友達と呑みに行く機会も少なくない、という。←さりげなく言うこんなセリフですら、”なんだ、私は全然特別じゃないのね”と心で思う。やっぱり好きなのかもしれない。 更にはアネキがいるとあって、基本的に女と話すのが上手なヤツだったのである。 こういうタイプは、ずるいぐらいかっこいいと思う。 ”女好き”を丸出しにしてギラギラしてるよな派手さもないし、 むしろ、、、ちょっと女の子苦手そうなパッと見。 女からしてみれば、それこそ居心地がよく安心、でも魅力的な男ってヤツなのだ。 ”なんで、あいつあんなにモテるんだ?”と言われるのは、彼みたいな人かもしれない。 家庭環境からか生活環境からか、自然とツボを心得ている。 もちろん会話のグルーブ感も絶妙。はっきりと言いたい事を言うが、 強すぎず、熱すぎず。俺ネタをタラタラと一方的に話したりもしない。 そして呑みっぷりもよく、酔っぱらわない。なにより、たくさん笑う。 私、高校生の時から好きな男のタイプと言えば ”酒強い””ヤニ(タバコ)吸う””音楽好き””こじゃれ””細身””オモロイ” もちろん年をとると”タイプ”なんてなくなるし、本質的な部分で恋愛をするようになったけれど、、、。 でも、私の好きな男の原点。 ソイツが目の前にいる。 そして、なんだかその男はどうやら私と、好きな街も店も音楽もばっちり合うようだし、なにしろ仕事で尊敬してた色眼鏡を外しても、本質的にも素敵なヤツに思える。 ←私という女は、独身を貫きながら、なんて勘のいい女になっちまったんだろう。 これが私の集大成ってヤツなのか?はあ〜、、、。 今まで、”オトコを見る目ないんじゃない?”と言われた事も多々ありましたが (正直フィフティーフィフティーなんだけどな〜。半分はありましたよ、ダメんずも) 私、ストライクゾーンど真ん中の男を見つけてしまったのね? たったひとつだけ。 彼が私の事を好きでもなんでもない、って事を抜かせば、ね。 会社から離れて、二人、下北沢へ。 スタートは早かったのに1件目の店、我がお気に入りの ”汁べえ”で深酒してたら、 いつのまにか終電ギリギリになってしまった。 ”まだまだ、全然呑み足りないから朝まで呑んじゃおうよ。適当に疲れたら帰っていいからさ(私はマン喫で時間をつぶす、と、、)”と駄々をこねる私に、 ”え、ヤバいなら帰んなよ、俺朝まで付き合あわれへんよ”と彼。 私の事を好きな男なら、こんな事言わない。 こういう場合もっと喜ぶから。張り切って2件目探しちゃうから。そういうの経験で知ってるから。 経験豊富なのっていいんだか、悪いんだか、だ。 結局ふたりで2件目にいった。下北沢にあるカフェバー ”gadis”。 私はすっかり酔って、 ”知る、知られる”会話のバランスなど、もう考えられなくなっている。 居心地のよさに、何を話したのか記憶にないぐらい、、、、ただよく話したんだと思う。そしてよく呑み、笑った。 なんだかんだいって、案外付き合いのいい彼は2件目看板後の3件目にも付き合ってくれた。 ここは初めての店、名前は憶えて無いけど、住宅街にあるちっちゃなバーだった。 馴染みの客が数人いるだけ、でも一元さんの私達にもマスターは暖かく。 気付いたら皆でしゃべりながら、すっかり朝。 そんな素敵な時間だった。 幸せだな、と思った。このままいつまでも終わらないで、と思った。 だけど、終わりの時間はいやがおうに近付いてくる。 帰りみち、彼はぽつりと言った。 ”いやあ、それにしてもようしゃべるなあ。俺に話す間を与えさせてくれへんほどやもんな〜(苦笑)” その言葉にハッと酔いが冷める。 ”また、やっちまったのか、、、私” (これってよくある(?)、 朝方見知らぬ男子と同じベットに寝てて、自分は裸。はっ?なぜ? またやってしまったの〜私、、、 みたいな心境と似てるのでしょうか?(笑)) きっと彼がいっぱい笑ってくれたから、私は安心して、もっと笑わせようとしたのだ。 彼の話を知りたくて、たくさん耳を傾けていたつもりだったけれど、 いつのまにか自分の話になっていたのだろう。 酔えば酔うほど ”素”が出る。 そして、、、結局、こうして話し過ぎる事自体が、私の ”素”なのだろう、残念。 相手を好きなほど、私は長く、たくさん、話したくなるのだ、 相手の気持ちなんてお構いなしに。 なんて学習能力のないバカな女なんだ。 そんな女でも好きになってくれる男じゃないと、もう無理なのかな。 少なくとも、この夜、私は感じたのだ。 ”私だけが、恋してるんだな” ってね。 (彼に彼女がいるとか、私に彼がいるというのもあるのかも(?)しれないけれど、 人を好きになるという可能性においては、正直関係のない要素だと思う) せっかく芽生えたこの恋は、ツボミのままでもう終わっちゃったのか。 それとも、はじまったばかりなのか。 当たり前のように、次の約束はない。 だけどやっぱり、私は昨日を振り返り、思うのだ。 ありがとう、と。
by morerock
| 2006-06-03 20:57
| 或る男と女の話
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